シングルセルレベルの分解能で隠されたアイソフォームの多様性を明らかに
細胞の異質性をアイソフォームレベルで理解することは、基礎研究や疾患研究にとって重要です。ショートリードでは遺伝子発現レベルの情報しか取得できず、他のロングリード技術では正確なUMI/バーコード識別のための精度が不足しています。
シングルセル研究でアイソフォームを正確に検出できるのは、HiFiリードだけです。バーコード補正や直交シーケンスデータ解析のための複雑なアルゴリズムは必要ありません。
MAS-Seq for 10x Single Cell 3′ キットを使用すると、以下のことが可能になります:
- Sequel II/IIEおよびRevioシステムで16倍のスループットを達成する。
- 遺伝子カウントから完全長アイソフォーム情報への移行
- 細胞種特異的なスプライシングアイソフォームと発現バリアントを明らかにする。
Tech note
JumpCodeを用いて希少なアイソフォームや細胞種を検出
Jumpcode Single Cell RNA Boostキットは、PacBio社のMAS-Seq for 10x Single Cell 3′ kitと互換性があります。CRISPR-Cas9技術により、シングルセル解析において必要性の低い遺伝子をターゲットを除くことで、希少なアイソフォームや細胞タイプの発見力を高めます。
シングルセルRNAシーケンスにおけるHiFiシーケンスの優位性
Long-read sequencing performance |
Short reads | Other long reads | PacBio |
---|---|---|---|
一つの手法 | ✓ | X | ✓ |
アイソフォーム情報 | X | ✓ | ✓ |
変異情報 | X | ✓ | ✓ |
公式の解析ツール | ✓ | X | ✓ |
ビデオチュートリアル
Mas-Seq を用いたシングルセルバイオインフォマティクスの概要
PacBio MAS-Seq for 10x Single Cell 3’キットは、PacBioのシーケンサーで16倍のスループットを実現し、シングルセルのトランスクリプトミクスにおけるアイソフォームレベルの解像度を可能にします。このチュートリアルでは、PacBioのSMRT Linkソフトウェアを使用してMAS-Seqシングルセルデータを解析し、Kana、Seurat、CellTypistなどの3次解析ツールで使用できる遺伝子およびアイソフォームレベルのカウントマトリックスを作成して、細胞のクラスタリングや細胞のラベリングを行う方法を紹介します。
PacBioのシングルセルアイソフォームインフォマティクスの詳細については、https://isoseq.how をご覧ください。
シングルセルRNAシーケンスとMAS-SEQキットに関するよくある質問
シングルセルRNAシーケンス(scRNA-seq)は、複雑な組織から得られた個々の細胞間の遺伝子発現の違いを特徴付けるために登場し、トランスクリプトームをより高解像度で見ることができるようになりました。一般的なシングルセルライブラリは、RNAをインプットとして、シングルセルバーコードとユニーク分子インデックス(UMI)でタグ付けされたcDNA分子を出力し、転写物の由来を「シングルセル」までさかのぼることができます。これはバルクRNA-Seqとは対照的で、バルクではシングルセルバーコードが存在しないため、転写物を個々の細胞に紐づけることができません。
PacBio HiFi readsを用いたシングルセルRNAシーケンスは、シングルセルレベルで全長アイソフォーム情報を提供します。ショートリードシーケンスでは、転写物の末端の短い断片をシーケンスするだけで、遺伝子レベルの情報しか得られません。一方、PacBio HiFiリードは転写物全体をカバーすることができ、シングルセルレベルの解像度でアイソフォームの多様性を明らかにします。遺伝子ではなくアイソフォームの違いが病気や生物学的機能の原因となることが近年多く知られています。
MAS-Seq法は、Al’Khafajiらによって、シングルセルプラットフォームから生成されたcDNA分子をより長い連結フラグメントに結合することでスループットを向上させる手法として開発されました。連結された分子のシーケンスから生成されたHiFiリードは、バイオインフォマティクス的に分割され、元分子の情報を取り出すことができます。その結果、スループットが向上し、シーケンスの必要性が減少します。著者らは、10x のシングルセルライブラリにMAS-Seq法を適用することで、がんに関連する特定の細胞集団に関連するユニークなアイソフォームを識別できることを示しましたが、ショートリードによるシングルセルRNA-Seqでは検出不可能でした。
はい!MAS-Seqでは、シングルセルライブラリの全長アイソフォーム情報を得ることができますが、ショートリードなどの他のシーケンス手法では、遺伝子レベルの情報しか得ることができません。MAS-Seq(Al’Khafajiら)や通常のHiFiシーケンス(Palmerら、Joglekarら)を用いた複数の論文で、細胞集団のアイソフォーム特異性の特定にPacBioが使用されていることが実証されています。
いいえ。MAS-Seqキットを使用すると、PacBio HiFiシーケンスは、PacBioロングリードシステムで1つのSMRTセルを使用する典型的なシングルセル実験に十分なカバレッジを提供します。直行する他のシーケンス技術は必ずしも必要ではありません。
MAS-Seq キットは、10x Chromium Next GEM Single Cell 3′ kit (v3.1) を用いて作成した cDNA に対応しています。
MAS-SeqキットはSequel II/IIeおよびRevioシステムと互換性があります。
PacBioへお問い合わせください
SMRT Link Read Segmentation & Single-cell Iso-Seq ワークフローは、MAS-Seqデータを処理して、Seuratなどの一般的な3次解析ツールと互換性のある遺伝子およびアイソフォームカウントマトリクスデータを生成します。バイオインフォマティクスの詳細については、https://isoseq.how/ をご覧ください。
Mas-SeqがシングルセルRNAシーケンスの世界にどのような変革をもたらすかを知る
ビデオウェビナー
MAS-SEQによるシングルセルRNAシーケンス - 遺伝子発現情報のみでは不十分な場合とは?
このウェビナーでは、PacBioの科学者がMAS-Seqの手法を紹介します。このキット化されたソリューションは、比類のないデータ品質と情報力を提供し、次の画期的な発見を可能にする全く新しいシングルセルトランスクリプトミクスを提供します!シングルセル研究において、なぜ遺伝子ではなくアイソフォームが重要であるか、MAS-Seq法を用いたシングルセルレベルの高精度全長アイソフォーム情報により、疾患生物学に対する画期的な知見が得られること、をご確認ください。そして最後に、隠れたアイソフォームの多様性を発見する方法であるMAS-Seqは容易にシングルセル研究に容易に組み込むことが可能であることを、ライブラリ調製と使いやすいインフォマティクスワークフローの流れを通じて学ぶことができます。
ワークフロー
MAS-SEQを用いて、お客様のシングルセルトランスクリプトーム研究を強化
- MAS-Seq for 10x Single Cell 3’キットを用いて16倍のスループット向上
- cDNAからシークエンス用ライブラリの調製まで、2日で完成
- Sequel II/IIE、Revioシステムに対応
- SMRT Linkワークフローは、3次解析ツールと互換性のある遺伝子・アイソフォームマトリックスを出力
PacBioに問い合わせる